- 子供の歯(前歯)がねじれてきた…
「捻転歯」とは? - 子供の歯(前歯)がねじれてしまう原因
- 前歯のねじれ(捻転歯)は自力で治せる?
対処法はある? - 前歯のねじれ(捻転歯)を放置すると…
- 前歯のねじれの直し方(矯正)
子供の歯(前歯)がねじれてきた…「捻転歯」とは?
捻転歯(ねんてんし)とは、歯が正常な位置や角度で生えず、左右いずれかにねじれて生えてしまう状態です。歯そのものが変形し、ねじれるわけではありません。この現象は、特に前歯に多く見られ、臼歯部にも発生しますが、前歯部ほどの頻度ではありません。
捻転歯のねじれ度合いは個々の歯によって違っており、中には180°もねじれてしまうケースも存在します。また、左右の中切歯(ちゅうせっし:真ん中にある前歯)に、左右対称に捻転が見られる場合は「翼状捻転」と呼ばれます。
子供の歯(前歯)が
ねじれてしまう原因
一般に「ねじれ歯」と呼ばれるこの状態は、専門的には「捻転歯」や「ROT」と言われます。主に前歯に発生し、歯のサイズそのものに問題があるわけではなく、生えた時の角度についても一人ひとり状況が異なります。ねじれの原因は多岐にわたります。
遺伝
歯の原形である歯胚(しはい)は、胎児期に母親のお腹の中で形成されます。この時点で歯胚がねじれてしまうことがあり、それが成長後の捻転歯の原因となることがあります。
顎が小さい・狭い
食生活の変化に伴い、顎の発育が狭まる傾向が増えています。これにより、永久歯が正常な位置ではなく、歯の表面や裏面に傾斜して生えたり、ねじれながら生えたりするケースも存在します。さらに、永久歯が全く生えてこない萌出不全のリスクもあります。
乳歯が虫歯になっていた
乳歯が重度の虫歯になり神経を抜く処置を受けると、根管治療が行われます。この治療で、歯科医師は神経があった部分を清掃しますが、膿が歯根の先端に残ると、新しく生える永久歯がその膿を避けて生えることもあり、結果として捻転歯が出やすくなります。
乳歯の生え変わりが遅い
乳歯の抜けるタイミングが遅れると、永久歯は歯茎の下で成長を続けます。しかし、乳歯がまだ残っているために適切なスペースがないと、永久歯は裏側から生えたり、ねじれて生えたりしてしまいます。
歯の本数が多い
一般的に、親知らずを含めた上下の歯の総数は32本です。ただし、過剰歯を持つ方はこれより多い本数を持っています。この余分な歯が原因で、永久歯が正しい位置に生えるためのスペースが不足し、結果として歯がねじれて生えることがあります。
前歯のねじれ(捻転歯)は
自力で治せる?対処法はある?
永久歯に生え変わった前歯の歯並びは、自然に整うことに期待できません。隙間がある場合、奥歯の生えることで前方への圧力がかかり、隙間が閉じる可能性はありますが、歯が重なっている状態では、歯科矯正による治療が必要です。重なり合う歯は、顎のサイズに対して十分なスペースがないことが原因で、矯正治療により顎の成長を促進するか、スペースを確保するために永久歯を抜くことが検討されます。
乳歯がねじれて
生えてきた場合
乳歯がねじれて生えてきた場合、乳歯は永久歯と比べて小さいため、あごの成長に伴って十分なスペースが確保され、歯が自然に正しい位置や向きに変化することがあります。そのため、様子を見る場合もありますが、歯並びに不安がある場合や、痛みや不快感を伴う場合には、一度ご相談下さい。
ねじれて生えてきた歯が
大きい場合
永久歯がかなりねじれている場合は、将来的に矯正治療が必要になる可能性があります。ただし、お子様の顎は成長中であり、日々のトレーニングによって状態が改善することも期待できます。そのため、歯科医師と相談し、最適な対応策を決定することが重要です。
歯のねじれが大きく、
上唇小帯なども気になる場合
前歯が他の歯より60度以上もねじれている場合は、早めに専門医へご相談いただくことを推奨します。さらに、上唇と前歯の間に位置する上唇小帯が異常に長い場合、隣接する歯からの圧力によっても隙間が閉じないことがあります。お子様の上唇小帯に関してご心配がある場合は、専門医の診断を受けるのが望ましいです。
歯と歯の間に隙間がある場合
ねじれている歯と他の歯との差が5mm以内であれば、通常は特に治療を急ぐ必要はありません。歯間にスペースがある状態では、隣の歯が生える際に自然と歯が整列することが期待されるからです。
前歯のねじれ(捻転歯)を
放置すると…
ねじれた前歯をそのままにしておくと、次のようなリスクが生じることがあります。
嚙み合わせが悪くなる
噛み合わせ全体に影響を及ぼし、前歯の持つ「食べ物を噛み切る機能」に支障をきたすことがあります。また、ねじれた前歯が唇を傷つけたり、他の歯への負担が増えたりすることもあり、これが歯の摩耗や損傷に繋がるリスクを高めます。
虫歯や歯周病に
なりやすくなる
隣接する歯との間に重なりが生じるため、ブラッシング時の磨き残しが多くなります。それにより、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
見た目に大きく影響する
歯並びに対するコンプレックスにより、口元を隠したり笑顔を控えたり、人前での発表に抵抗を感じたりするなど、日常生活に影響を及ぼすこともあります。歯並びを整えることは、自信を取り戻すステップにもなるため、前歯のねじれはぜひ改善させましょう。
前歯のねじれの直し方(矯正)
マウスピース矯正装置
インビザラインなどのマウスピース矯正は、捻転歯の改善に有効ですが、重度の捻転歯には別の治療法が要る可能性もあります。混合歯列期にインビザラインファーストを使用すると、隙間が生じて捻転歯の予防が期待できます。特に、歯列が狭いことで捻転歯になりやすい永久歯の改善に期待されます。