- 前歯で物を噛めない…子供の開咬の状態とは
- 子供が前歯で物を噛めない原因(開咬の原因)
- 子供の開咬って治療しないとどうなる?
- いつから始める?開咬の治療時期について
- 前歯で物を噛めない歯並び(開咬)の治し方
前歯で物を噛めない…
子供の開咬の状態とは
開咬、またはオープンバイトとは、奥歯で噛んでいる際に、前歯間に隙間がある状態です。これにより、前歯で食べ物を噛み切ることや、「サ行」「ラ行」の発音が困難になり、日常生活に影響が出ます。
前歯が機能しないために奥歯への負担が増え、顎関節にストレスがかかり、歯周病のリスクも高まります。そのため、早期の改善が推奨されます。
お子さんにこのような症状はありませんか?
- 前歯を使って食べ物を噛み切ることができない
- 肉などの食材は小さく切らなければ食べられない
- サ行、タ行、ラ行などの発音に苦労する
- 食事中に食べ物が口から落ちることがある
- 口が自然と開いてしまう状態が見られる
子供が前歯で物を噛めない原因(開咬の原因)
遺伝
骨格に関する問題は、しばしば遺伝が大きな役割を果たします。両親や祖父母が顎の骨のズレを持っている場合、その特徴は子供にも遺伝する可能性があります。さらに、遺伝的な要因で下顎が小さかったり後退していたりする方は、不正咬合の一形態である開咬になる傾向があります。
子供の生活習慣・癖
後天的な問題は、主に4つの悪い習慣が定着することによって生じます。
指しゃぶり・指吸い
長期間にわたる幼少期の指しゃぶりは、上顎前突(出っ歯)や開咬を引き起こすことがあります。指を強く吸う習慣が続くと、上下の前歯の成長を阻害し、徐々に隙間が生じて開咬に至ることがあります。
口呼吸
口呼吸は、開咬の一因となることがあります。正常には鼻呼吸を行いますが、鼻炎やその他の鼻咽腔の問題がある場合、人は口呼吸に頼ることになります。この状態で舌が気道を確保するために下がったり前に移動したりすると、歯に圧力をかけてしまい、結果として開咬を引き起こすことがあります。
舌で歯を触るなどの舌癖
舌癖は、無意識のうちに舌で歯を押す行為であり、歯並びや咬み合わせに悪い影響を及ぼす習慣の一つです。舌は通常、上前歯の裏側にある上顎の突起、いわゆる「スポット」に位置するべきです。
しかし、舌がこの位置からずれて下に移動すると、歯に圧力をかけてしまい、時間とともに歯が移動し、開咬を引き起こしてしまうのです。
ポカン口
子供が夢中になっている時、口が自然と開いていませんか。これは「口腔機能発達不全症」という状態の兆候の一つであり、特に「口唇閉鎖不全症」と呼ばれる症状です。
この状態の子供は、鼻呼吸ではなく口呼吸をすることが習慣になるリスクがあります。この癖を放置すると、舌を出すことが常態化し、口内のバランスが崩れ、虫歯、歯周病、または不正な歯並びの原因となるため、注意が必要です。
子供の開咬って治療しないと
どうなる?
子供の開咬は外見上の問題にとどまらず、多方面にわたる影響を与えることがあります。放置された開咬は、様々な不利益を引き起こす可能性があります。
咀嚼機能が低下する
前歯が肉や繊維質の食べ物を「噛み切る」役割を果たせない場合、食べ物が十分に咀嚼されずに飲み込まれることになり、これが胃腸に過度の負担をかける原因となります。
顎関節症になりやすくなる
奥歯を頻繁に使用して食べ物を噛むことで、咀嚼筋に過剰な緊張がかかり、それが顎関節症の発症リスクを増加させます。
滑舌が悪くなる
空気が漏れることにより、サ行、タ行、ラ行の発音がしにくくなります。
虫歯や歯周病が
できやすくなる
歯磨き自体は比較的簡単ですが、口内が乾きやすい状態では唾液の分泌が減少し、その結果、口内の自然な清掃作用が弱まり、虫歯や歯周病のリスクが増加します。
奥歯への負担が大きくなる
前歯の使用が難しい場合、奥歯への依存が増え、それが奥歯の過度な負担となります。長い目で見ても、健康に影響を及ぼす恐れがあります。
いつから始める?
開咬の治療時期について
正しい噛み合わせは、内側からの舌の圧力と顎・唇の力のバランスがうまく釣り合っているため、噛む力も適切になります。発育期にこのバランスが良いと、顎顔面頭蓋の発育も促進され、綺麗な歯並びを得られやすくなります。
しかし、開咬は咬む力の弱さや舌の前方突出、飲み込みにくさ、滑舌の悪化、ポカン口などのトラブルを引き起こします。加えて悪化すると、上顎の前方部が上へ跳ね上がるといった歪みを生じさせます。そうなると、より治療が困難になります。
開咬は治療が長期化しやすく、後戻りを起こしてしまうケースも少なくありません。
早いうちから矯正治療と筋機能訓練(MFT)を組み合わせることで、これらの問題を修正し、後戻りを防ぐことが可能です。そのため、開咬やその他の口腔機能の問題は受け口などのトラブルと同じように、早くからの治療・対処することが重要とされています。
前歯で物を噛めない歯並び(開咬)の治し方
マウスピース矯正装置
既製品で、歯を直接動かすのではなく、不適切な習慣や癖を改善して顎の正しい成長を支援し、整った歯並びを形成します。この装置は夜間と日中2時間の装着が推奨されます。
インビザラインファースト(インビザラインティーン)
混合歯列期の子供達に適した、薄くて透明なマウスピース型矯正装置を使用します。段階的に形状が変わるマウスピースを順番に使用することで、歯を少しずつ移動させます。
食事や歯磨き時には簡単に取り外せるため、見た目の美しさと使用時の快適さを兼ね備えています。
ワイヤー矯正
歯の前面に装着されるブラケットを通して金属ワイヤーを引き、歯を所定の位置に移動させます。この方法は大人の矯正治療におけるブラケット矯正と基本的に同じです。また、ブラケットに金属の代わりにセラミックを用いて、装置が目立たないようにすることもできます。