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子供の歯並びを良くする方法

歯科医師が教える
「子供の歯並びを良くする方法」とは?

子供の成長期は体も精神も大きく発達し、生活や行動、興味なども目まぐるしく変化します。
この時期の歯並びの注意点と改善方法について解説します。

乳幼児期(0~2歳くらい)

歯科医師が教える「子供の歯並びを良くする方法」とは?

  • 母乳育児の実践:生まれてから1~2年半の間は、できる限り母乳育児を推奨します。母乳育児は鼻呼吸、舌の適切な位置、口周りの筋肉発達を促し、歯並びの乱れを予防します。哺乳瓶は母乳よりもスムーズに呑めるため、効果に差が生じる可能性があります。
  • うつ伏せ寝の回避:うつ伏せ寝は顔の骨格の歪みだけでなく、安全上にも問題があります。そのため、避けることが望ましいです。
  • 咀嚼能力の育成:卒乳して離乳食期に入りましたら、前歯と奥歯をそれぞれ使って正しく噛む練習をし、筋肉と骨格の健全な発育を促進しましょう。これにより、顎のバランスが整い、歯並びが改善されます。

幼児期(3~5歳くらい)

幼児期(3~5歳くらい)

  • 適切な食事姿勢:子供が食事する際は、足が地面にしっかりとつくように子供用の椅子を使用しましょう。大人用の椅子は子供にとっては大きいため足元がふらふらしやすく、姿勢の悪化にも繋がります。正しい姿勢を保つことが顎の発育に役立ちます。
  • 噛む力の育成:食事中は口を閉じてしっかり噛むことを心がけましょう。噛みごたえのある食品を取り入れることで、顎の筋肉を鍛え、正しい歯並びを促進します。
  • 呼吸と噛み合わせ、癖などの管理:鼻呼吸を促し、口呼吸やうつ伏せ寝を避けること、また受け口がある場合は早期に矯正治療を検討し、指しゃぶりやおしゃぶりは4歳頃にはやめさせることが推奨されます。

おすすめの矯正治療

小学生期(6~11歳くらい)

小学生期(6~11歳くらい)
  • 矯正治療の開始:6~7歳は矯正治療を始める適切な時期です。この時期のうちに口呼吸や悪い姿勢、うつぶせ寝、頬杖などの癖を修正し、歯並びの問題を予防します。特に、口呼吸はアデノイド顔貌になる恐れがあるので、要注意です。
  • 生活習慣の改善:正しい食事姿勢を保ち、噛む力を養うために硬い食材(玄米や生の野菜など)を取り入れましょう。スマホやテレビの見過ぎ・ゲームのし過ぎによる猫背も避けましょう。
  • 忙しくなる年齢なので要注意:塾などの習い事に通い始めることが多い年代ですので、多忙によって早食いしたり歯磨きを忘れたりするトラブルには気を付けましょう。

中学生期(12~14歳)

中学生期(12~14歳)
  • 早期矯正を行う:永久歯の生え替わりが完了する前に、矯正治療を行いましょう。この年齢のうちに行うと顎の成長が利用できるため、抜歯が回避できる可能性も高まります。
  • 悪い癖の改善:口呼吸、うつ伏せ寝、頬杖、猫背などの癖は歯並びに悪影響を及ぼします。これらの習慣は、なるべく早めに改善することが推奨されます。特に口呼吸の癖は早めに治すのが望ましいです。
  • 矯正の適切な時期:顎の成長が続く15~16歳前は、矯正を開始する適切な時期でもあります。この年齢から始めていけば、非抜歯での矯正治療が可能になることもあります。

子供の「悪い歯並び」って
どういう歯並び?

悪い歯並びは見た目の問題だけでなく、虫歯や歯周病のリスクを増加させる要因になります。歯が整っていないと、歯ブラシが届きにくくなり、プラークが蓄積しやすくなるためです。子供の歯並びに問題がある場合は、早期に矯正歯科の専門医にご相談ください。

すきっ歯(空隙歯列)

すきっ歯、または空隙歯列とは、歯間に空間が存在する状態です。これは外見上の印象だけでなく、発音にも影響を与える恐れがあります。隙間を通じて息が漏れ出ることで、通常の発音が困難になる可能性があるのです。

出っ歯(上顎前突)

出っ歯(上顎前突)は、上の前歯が通常よりも前に突出している不正咬合です。日本人によく見られ、上顎の骨まで前に突出しているケースもあります。

前歯で物を噛めない(開咬)

開咬は、一部の歯が正しく噛み合わないために生じる不正咬合です。前歯が噛み合わないことで食べ物を噛み切るのが難しくなります。また、口を無意識に開ける癖にも繋がり、結果として口呼吸や発音の問題を引き起こす可能性があります。

噛み合わせが深い(過蓋咬合)

過蓋咬合は、上の歯が下の歯を過剰に覆っている状態です。顔のバランスが悪くなったり、噛む機能に悪影響を及ぼしたりします。重度の場合は、噛む力が弱まり、食事や会話にも問題が生じるようになります。

しゃくれ・受け口(反対咬合)

受け口は、下の前歯が上の前歯よりも前に位置する状態です。下顎の突出が目立つため、しゃくれた印象を与えてしまいます。

歯並びがガタガタ(叢生)

叢生(そうせい)は歯が重なり合って不規則に並ぶ状態です。「八重歯」とも呼ばれます。歯磨きがしにくく、虫歯や歯周病のリスクが増えるため、口内の清掃を徹底する必要があります。

交叉咬合

交叉咬合は、通常とは異なる前後位置にある歯によって起こり、主に1本か2本の歯で発生します。噛み合わせのバランスに問題があるため、機能面に悪影響を及ぼすこともあります。

子供(赤ちゃん)の
歯並びが悪くなる原因

保護者の方々の多くは、お子様の歯並びに関して心配し、「どうすれば歯並びを良く保てるか」と疑問を抱いているかと思います。
子供の歯並びは様々な要因で悪化する可能性があり、ケアを怠ると成長に伴い、問題が深刻化することがあります。子供の歯並びを悪化させる原因として、下記のものが挙げられます。

子供の生活習慣や癖

子供の生活習慣や癖子供の歯並びには日常の習慣が密接に関わっています。そのため、以下の癖によって、歯並びが悪くなることがあります。

など

遺伝

子供の歯並びは遺伝と生活習慣の両方から影響を受けます。保護者が受け口である場合、子供にもその特徴が現れることがありますが、良い歯並びは遺伝だけで決まるものではなく、日々の習慣も大きく関わっています。したがって、親の歯並びが良くても、子供の不適切な生活習慣により歯並びが悪くなることがあります。

虫歯の放置

乳歯の虫歯を放っておくのは禁物です。乳歯が損傷したり歯の頭がなくなったりすると、隣の歯が移動し、後に生えてくる永久歯の並びに悪影響を及ぼすことがあります。

おうちでできる
歯並びが良くなる習慣

生活習慣や姿勢の改善

生活習慣や姿勢の改善姿勢と歯並びは一見関係ないようで、密接な繋がりがあります。正しい姿勢は顎の発育に影響を与えるだけでなく、良い歯並びを得ることにおいても重要です。頬杖や猫背などの悪い姿勢は、顎の位置をずらしてしまう要因にもなります。その結果、顎の発達にも悪影響を及ぼし、歯が傾くようになります。
食事時には背筋を伸ばし、「前歯で噛みきる」「奥歯ですりつぶす」を意識させましょう。

噛む習慣・噛む力をつける

現代では柔らかい食品が増え、噛む回数が減少していますが、しっかり噛むことは脳の活性化、肥満防止、味覚の向上、そして歯並びの改善や虫歯・歯周病予防にも繋がります。適切な咀嚼は口周りの筋肉を鍛え、歯並びや顎の正しい発達を促します。
硬い食品を食事に取り入れることで、自然と噛む習慣を身につけることが重要です。一口につき約30回噛むことが推奨されています。

口呼吸から鼻呼吸を心がける

子供が口を開けている場合は、口呼吸が疑われます。口呼吸は顎の発達不足や不正咬合、扁桃腺の問題など、色々な健康問題を引き起こしやすくなる習慣です。
また、乳歯の虫歯は永久歯の歯並びにも悪影響を及ぼすため、早期の予防と治療が重要です。正しい鼻呼吸の習慣を身につけ、乳歯のケアに注意しましょう。

定期的に歯科検診に行く

子供の歯並びに関する正確な把握と、将来的にどのような歯並びになるのかと予測することは、専門家による定期検査によって可能になります。
乳歯の段階での適切なケアと生活習慣の改善は、将来の歯並びに大きな影響を与えます。歯科での定期検診は約3ヶ月ごとに推奨され、早期発見と早期治療により歯並びの問題を防ぐことができます。必要に応じて、お口周囲筋肉のトレーニングや早期矯正治療を受けるようにしましょう。

かたいものを食べたらいい?
歯並びを良くするための食事

かたいものを食べたらいい?歯並びを良くするための食事子供の小さな顎は、柔らかい食べ物が多い現代食の影響を受けています。顎は歯の土台であり、小さい顎では歯が適切に並ぶスペースが不足し、歯並びが悪化する原因になります。噛む行為は顎の発育に不可欠で、食事での噛む回数が減ると顎の発達が阻害されます。
柔らかい肉料理やパン、揚げ物などの西洋化した食生活により、噛む機会が減少し、結果として顎が小さくなりがちです。噛む力を鍛えることで顎を強化し、歯並びの問題を予防することが可能です。

噛むための工夫した食事を

食材の調理法によって噛む回数を増やすことができます。例えば、大きめにカットした野菜や火を通しすぎないことで歯ごたえを保ち、スープや味噌汁は具だくさんで汁気を控えめにすると良いでしょう。ただし、こんにゃくやお餅などは窒息のリスクがあるため注意が必要です。
和食は自然と噛む回数を増やす食材が豊富です。「干物」「乾物」「漬物」などがその例で、玄米やもち麦を混ぜたご飯も噛む力を養います。筑前煮やきんぴらごぼうなどのレシピもおすすめです。
また、おやつを通じて噛む習慣を身につけることも効果的です。「干し芋」「かりんとう」「かた焼きせんべい」「いりこ」など、噛みごたえのあるおやつは子供達にも喜ばれることが多いです。

「かたいもの」より
「噛む回数」を意識

顎の発育と歯並びには噛む行為が重要で、硬い食べ物を多く摂ることよりも、噛む回数を増やすことが大切です。噛む動作は顎の骨を強化し、唾液の分泌を促進して虫歯を予防します。子供も大人も日々の食事で、しっかりと噛む習慣を心がけましょう。

食物繊維も食事にいれよう

食物繊維が豊富な食品は、顎の運動を促し、子供の顎の成長と歯並びに良い影響を与えます。代表的な食品にはさつまいも、レンコン、にんじんなどがあり、これらを噛むことで唾液の分泌が促され、虫歯予防にも役立ちます。